Exchange Onlineへの移行は、中小企業にとって業務効率やセキュリティ向上の大きなチャンスです。しかし、実際の移行作業では予想外のトラブルに直面するケースも少なくありません。
ここでは、5年以上にわたりExchange Onlineへのメール切替え支援を行ってきた経験から、特に注意すべき4つのポイントとその対策をご紹介します。
DNSレコードの編集ができない問題

問題点
メール移行にあたっては、既存のメールサーバーからExchange OnlineへのMXレコードの切り替えが必要です。
しかし、DNSサービスによっては社内で編集できず、DNSサーバー管理会社に作業を依頼しなければならない場合や、編集自体が不可能なケースも存在します。
また、管理会社に依頼する場合、作業費用が発生する可能性もあるため、事前のコスト確認が重要です。
対策
- 管理会社への依頼:全社でDNSレコード変更が必要な場合は、信頼できる管理会社に依頼することが確実です。
- DNSネームサーバーの変更:場合によっては、Azure DNS、エックスサーバー、お名前ドットコムなど、レコード編集が容易なDNSサービスへの切り替えを検討しましょう。
- 既存環境の確認:ホームページやホスティング環境がどのようにDNSを管理しているかを事前に確認し、必要な手続きや費用を把握しておくことが大切です。
メールデータ移行の難しさとOutlookクライアントの有無

問題点
一括でのメールデータ移行は技術的に難しく、専用ツールを利用すると高額な費用が発生することが一般的です。
さらに、各ユーザーが従来のメールボックスからExchange Onlineへの移行を実施する際、クライアントアプリ版のOutlookが存在しない場合、メールデータの移行作業自体が進まないという問題があります。
このため、事前に各ユーザーの環境を確認し、必要なOutlookクライアントの有無を把握しておくことが重要です。
対策
- ユーザー環境の確認:移行前に各ユーザーがOutlookクライアント(買い切り版Outlook 2019やMicrosoft 365に付帯するOutlookなど)を保有しているかを確認し、必要に応じたライセンスやソフトウェアの導入計画を立てましょう。
- 専門業者への相談:もし各ユーザーの環境整備が難しい場合、専門の移行ツールや業者に依頼することも検討する必要があります。
HPやプリンター等のメールアカウント切替忘れ

問題点
HPやプリンターなど、社内で自社ドメインのメールアカウントを利用しているシステムについても、基本的にはExchange Onlineのメールアカウントへ切り替える必要があります。
従来のメールサーバーを残す場合、送信処理のみ従来サーバーが対応するケースが一般的です。
そのため、送信と受信で異なるサーバーを利用することになり、SPFレコードなどの設定が不整合になると、なりすましメール対策や認証エラーのリスクが高まります。
対策
- 全システムの洗い出し:HP、プリンター、その他メール送信を利用するシステムをリストアップし、切替えが必要かどうかを事前に確認しましょう。
- SPFレコードの見直し:Exchange Onlineと従来のメールサーバーが混在する場合、それぞれのサーバーを正しく指定するようSPFレコードを調整し、送信認証エラーを防ぐ必要があります。
基本認証によるメール送信の停止とセキュリティリスク

問題点
2025年3月現在、Exchange Onlineは基本認証に対応していません。
そのため、従来、HPやプリンターなどで基本認証を利用してSMTPでメール送信していた場合、Exchange Onlineではメール送信ができなくなります。
また、基本認証を利用するアカウントを従来のメールサーバーに残す場合、認証方式が脆弱なため、不正アクセスのリスクが高まるというセキュリティ上の問題も生じます。
対策
- 先進認証対応のメーラーへの移行:HPやプリンターに設定されているメール送信方法を、先進認証(Modern Authentication)に対応したメーラーに変更する必要があります。
- 従来サーバーの一部維持の検討:もし設定変更が難しい場合、送信専用として従来のメールサーバーを一定期間維持する方法も検討しましょう。ただし、その場合は基本認証による不正アクセスリスクの高さにも十分注意する必要があります。セキュリティ対策の観点からは、可能な限り先進認証への移行を推奨します。
まとめ
Exchange Onlineへの移行は、多くのメリットを提供する一方で、DNSレコードの変更、メールデータの移行、各種システムとの連携、認証方式の変更といったポイントで躓きやすい部分があります。
特に、基本認証を残すことによるセキュリティリスクは見逃せない重要なポイントです。これらの課題に対しては、事前の計画と専門家への相談が重要です。
弊社は5年以上にわたり、20名以下から1000名以上まで数多くの規模の企業様のExchange Online移行の実績がございます。もし移行に不安や疑問があれば、ぜひ一度ご相談ください。

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