「Microsoft 365を導入して、便利になったのは良いけれど…」 「会社の重要なデータをクラウドに置いて、セキュリティは本当に大丈夫なんだろうか?」 「設定画面は複雑で、何から手をつければいいか分からない…」
Microsoft 365の運用を担当する方、特にIT専任ではない兼務担当者の方にとって、「セキュリティ」は、漠然としながらも常につきまとう大きな不安の種ではないでしょうか。
世の中には「情報セキュリティ5か条(※)」といった、セキュリティ対策の基本原則がありますが、専門的で難しく感じてしまうかもしれません。 (※真正性、完全性、機密性、可用性、責任追跡性など、情報セキュリティの土台となる考え方)
この記事では、こうした専門用語を抜きにして、「Microsoft 365を安全に使うために、最低限おさえておくべき5つのポイント」を、具体的な機能と共にご紹介します。自社の設定がどうなっているか、ぜひチェックリストとしてご活用ください。
1.【真正性】「なりすまし」を防ぐ設定は万全か?
課題
IDとパスワードさえあれば誰でもログインできる状態は、アカウント乗っ取りのリスクに常にさらされています。
M365での対策: 多要素認証 (MFA) の全ユーザー有効化
セキュリティ対策の「最初の一歩」にして「最も重要」な設定です。パスワードに加えて、スマートフォンアプリなどでの本人確認を必須にすることで、不正アクセスのリスクを99%以上削減できると言われています。
2.【機密性】「見せるべきでない人」に、情報が漏れていないか?
課題
ファイル共有が便利になった反面、「リンクを知っていれば誰でもアクセス可能」な設定で、機密情報が意図せず外部に公開されている。
M365での対策: SharePointとOneDriveの「外部共有ポリシー」の見直し
管理センターから、組織全体の共有設定を「アカウント不要のリンク(すべてのユーザー)」から、「特定のユーザー」や「社内のみ」に制限できないか検討しましょう。また、共有リンクの「有効期限」や「パスワード」の設定を社内ルールとして徹底することも重要です。
3.【完全性】「うっかり上書き」や「データ消失」からファイルを守れるか?
課題
共有ファイルを編集したら、他の人が作った部分を消してしまった。PCが故障し、デスクトップに保存していたデータがすべて消えた。
M365での対策: SharePointとOneDriveの「バージョン管理」と「自動保存」の活用
SharePointやOneDriveに保存されたOfficeファイルは、変更のたびに自動でバージョンが保存されます。いつでも過去の状態に戻せるため、「先祖返り」を恐れずに共同編集が可能です。また、PCのデスクトップやドキュメントフォルダをOneDriveに同期させることで、PCの故障からもデータを守れます。
4.【可用性】「いつでも、どこでも」安全に仕事ができるか?
課題
社内のファイルサーバーが老朽化し、障害が不安。テレワークを推進したいが、VPNが不安定で業務にならない。
M365での対策: クラウド(SharePoint/Exchange Online)への完全移行
Microsoft 365は、99.9%の稼働率を保証するクラウドサービスです。サーバーの保守・運用という負担から解放され、社員はインターネットさえあれば、いつでもどこでもメールやファイルに安全にアクセスできる環境が整います。
5.【責任追跡性】「万が一」の時、原因を追えるか?
課題
不正アクセスや情報漏洩が疑われる事態が発生しても、誰がいつ、何をしたのか記録が残っておらず、原因究明ができない。
M365での対策: 「監査ログ」の有効化
Microsoft 365には、管理者の操作やユーザーのファイルアクセスといった行動を記録する「監査ログ」機能があります。初期設定ではオフになっていることもあるため、必ず「有効化」されているかを確認しましょう。これが、万が一の際の「防犯カメラ」となります。
日々のトラブル、まずこの一冊で解決しませんか?
セキュリティ設定は、導入時にしっかり固めておきたい重要なポイントです。しかし、Microsoft 365の運用では、こうした初期設定だけでなく、「Outlookのメールが検索できない」「Teamsの通知が多すぎる」といった、日々の細かなトラブルも発生します。
もし、あなたがそんな日々の問い合わせ対応に追われ、本来の業務に集中できずにいるなら、まずこの一冊を手元に置いてみてはいかがでしょうか。 Microsoft 365支援のプロが、現場で実際に寄せられるよくある質問と解決策を厳選してまとめた「トラブルシューティング大全」をご用意しました。
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Microsoft 365のセキュリティに関するよくある質問(FAQ)
- Qどのプランでも、これらのセキュリティ機能は使えますか?
- A
多要素認証(MFA)やバージョン管理、監査ログといった基本機能は、多くの法人向けプラン(Business Basic, Standard含む)で利用可能です。ただし、より高度なセキュリティ(条件付きアクセスや情報漏洩防止(DLP)など)を求める場合は、Business Premium以上のプランが必要になります。
- QIT担当者が一人でも、これらの設定をすべて管理できますか?
- A
正直に申し上げますと、すべてを完璧に管理し続けるのは、兼務担当者の方お一人では非常に困難です。だからこそ、まずは「多要素認証(MFA)の有効化」と「監査ログの有効化」という、最も重要な2点から着手することをお勧めします。
- Qセキュリティを強化すると、使い勝手が悪くなりそうで心配です。
- A
確かに、多要素認証などでログインの手間が少し増えるのは事実です。しかし、情報漏洩という最悪の事態が発生した際の損害(信用の失墜、損害賠償など)と比較すれば、どちらを優先すべきかは明らかです。利便性とセキュリティのバランスをどこに置くか、経営判断として決定することが重要です。
- Q結局、Microsoft 365は安全なのですか?
- A
はい、Microsoft 365は、自社でサーバーを運用するよりも遥かに高いレベルのセキュリティ基盤を提供しています。ただし、それはあくまで「強固な金庫」が提供されているというだけです。その金庫の「鍵の管理(MFA)」や「入退室のルール(共有設定)」を適切に行うのは、利用者である私たち自身の責任です。
- Q専門家のサポートを受けるメリットは何ですか?
- A
専門家は、何百社もの導入経験から、「この業種なら、この設定は必須」「この設定を緩めると、こういう事故が起きやすい」といった生きたノウハウを持っています。自社のリソースだけで悩むより、専門家の力を借りて短時間で最適な設定を行う方が、結果的に安全かつコスト効率が良い場合も多くあります。
まとめ:セキュリティは「導入時」と「継続的な見直し」が鍵

Microsoft 365は、中小企業でも大企業レベルのセキュリティを手に入れられる、強力なツールです。しかし、その機能は自動では有効になりません。
今回ご紹介した5つのポイントを参考に、まずは自社の設定が「最低限の安全基準」を満たしているか、一度棚卸しをしてみてはいかがでしょうか。
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今回はセキュリティという「守り」の側面に焦点を当てましたが、Microsoft 365には、日々の業務を効率化する「攻め」の活用法も無限に存在します。
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