近年、企業のコミュニケーションツールとしてビジネスチャットが主流になりつつあります。

Microsoft の Teams、Slack、Chatworkなどがビジネスチャットとして主に使われているツールであり、実際にこれらツールをビジネスで使われている方も多いかと思います。

一方で、いまだビジネスチャットを導入しておらず、社内のコミュニケーションをメールと対面や電話での会話で完結されている会社さんもいらっしゃいます。

私が過去Teamsを提案させて頂いた社長さん曰く、「メールと会話だけで十分。実際今なにも問題がおきていない。」とのことでした。

この記事では、ビジネスチャットが単なる従来のコミュニケーションの代替手段ではないこと、ビジネスチャットを導入することによって得られるメリットを説明します。


中小企業のコミュニケーション課題

社内コミュニケーション不足と業務への障害

現在、中堅・中小企業が直面している課題の一つがコミュニケーション不足です。

HR総研が実施した社内コミュニケーションに関するアンケート2022によると、「社内コミュニケーションに課題があるますか」という質問に対し73%が「課題あり」と回答しています。

また、同アンケートの社内コミュニケーション不足による業務障害の内容としては、「迅速な情報共有」で83%、次いで「部門間・事業所間の連携」が70%、「部署内のチームビルディング」が69%となっています。

参考:社内コミュニケーションに関するアンケート2022

大企業はオンライン、中小企業はオンラインコミュニケーションが主流

従業員数300名以上の大企業・中堅企業はオンラインコミュニケーションが主流であり、300名以下の中小企業はオフラインでのコミュニケーションが主流です。

HR総研が実施した社内コミュニケーションに関するアンケート2022によると、「利用する機会が多い社内コミュニケーションツール」について調査したところ、大企業と中堅企業では「オンライン会議ツール」が最多であるのに対して中小企業は「対面」が最多であることがわかりました。

参考:社内コミュニケーションに関するアンケート2022


ビジネスチャットの拡大と効果

ビジネスチャット市場

株式会社矢野経済研究所の調査によると、ビジネスチャット市場規模は2019年度の120億円から2021年度254億円まで拡大しており、2026年度には437億円まで拡大すると予測されています。

拡大の背景として、コロナ禍によるテレワークの普及とそのコミュニケーション手段としてビジネスチャット導入が進んだと考えられています。

また、当初はオフィスワーカーを中心に広がったビジネスチャットですが、スマートフォンでの利用を前提としたチャットツールが開発されたことで作業現場等のファーストラインワーカーからも活用されるようになりました。このことも拡大の一因であるとされています。

ビジネスチャット導入効果

株式会社Q.E.D.パートナーズが実施した意識調査によると、「ビジネスチャットの利用は業務効率化に有効だと感じていますか?」という問いに対しては91.6%が「YES」と回答しています。

また、同調査の「ビジネスチャット導入のメリットを一つ挙げてください」という質問に対しては、「コミュニケーションが取りやすい」が31.8%、「スピーディーな情報共有」が46.7%と回答しています。

このことから、中小企業が抱えるコミュニケーション不足による業務影響「迅速なコミュニケーション」などの解決策としてビジネスチャットが有効であるといえるでしょう。


ビジネスチャットを使わない中小企業

ここまで中小企業がコミュニケーション不足という課題を抱えており、その解決策としてビジネスチャットが有効だと説明してきました。ではなぜビジネスチャットを導入しない中小企業が存在するのでしょうか。

私が出会ったビジネスチャット導入に前向きでない社長は以下の考えを持っていました。

  • メールと電話でなにも問題起きていない
  • チャットコミュニケーションに慣れておらず面倒
  • いちいちチャットするより電話したほうが早い
  • わざわざコストをかけて新しいコミュニケーション手段を導入する意義を感じない
  • 社内に浸透させる工数を考えると今のままが良い

全体的に「いま問題なく仕事できているから必要性を感じない」という考えを持っている印象です。

たしかに、従業員が数名程度で、働く場所が決まっており、皆が同じ場所で働き、隣の人に声掛けすることで仕事が回る会社であれば無理に導入しなくても良いのではという考えは理解できます。

ただし、他の企業が場所にとらわれない働き方、デバイスにとらわれない働き方導入していく中で上記はたらき方を続けていると、いずれは業務効率で淘汰されるでしょう。

かつては全ての人々が自分自身の足で走り、目的地へ向かっていました。しかし、今では多くの人々が新幹線を利用して移動を始めています。その状況下で、我々も新幹線を活用しなければ、時代の流れに取り残されることは明らかです。

「問題なく仕事ができている」というのは主観的/絶対的ではなく客観的/相対的に判断する必要があります。その点ではメールと会話だけのコミュニケーションでは十分でないといえるでしょう。


メールと比較したビジネスチャットの利点

メールとビジネスチャットを比較すると、ビジネスチャットには以下の利点があります。

メールよりコミュニケーションコストが低い

ビジネスチャットはメールよりコミュニケーションコストが低いです。ここでいうコミュニケーションコストとは、「手間」「気軽さ」のことをさします。

メールは用件以外の文章が多く作成に時間がかかります。
「お疲れ様です。」から始まり「以上、何卒よろしくお願い致します。」で終わる”無駄で不要”な文章を記載している分作成に手間がかかりますし、受け取り不要な文章が記載されていることで用件を把握しづらくなります。

また、メールを使ったコミュニケーションは心理的ハードルをが高いです。
「わざわざメールを作成するほどのことではないな」というちょっとした情報共有がなされないまま放置されることでコミュニケーション不足を招きます。

一方、ビジネスチャットは用件だけを送るので作成にかかる時間は最小限です。くわえて、ちょっとした疑問や情報共有に使える気軽さも兼ねそろえています。

リアルタイムコミュニケーションが可能

即時性が求められるコミュニケーションにおいては、ビジネスチャットが有効です。

前述の通りメールは作成に時間がかかります。
宛先アドレスを入力して、適切な表現、改行などを考えている間に時間が経過します。

また、送信したメールを相手が確認したのか否か、返信が来るまでわかりません。
メールはこうした一方通行の情報伝達になりがちです。

たいして、ビジネスチャットは用件だけをすぐに伝えることができ、相手がその内容を確認したかどうかも既読アイコンなどで把握することができます。

リアルタイムコミュニケーションがビジネスチャットでは可能です。

過去のやり取りを見返しやすい

ビジネスチャットでは過去のチャット履歴が一覧でき、必要な情報をすぐに見つけ出すことができます。

メールの場合はFrom、Sent、To、CCなどのヘッダー情報や、「お疲れ様です。」「何卒よろしくお願い致します。」、署名といった要件に関係のない文章が入るためメールを見返すのに時間がかかります。

ビジネスチャットの場合はヘッダー情報に該当するものや、「お疲れ様です。」といった文章が不要なので文字数が少なくなり効率的に見返すことができます。


Microsoft Teams がおすすめの理由

数あるビジネスチャットの中で、私は「Microsoft Teams」をおすすめします。

理由は、Microsoft Teams はコラボレーションツールでありビジネスに必要なすべてのコミュニケーション環境をそろえることができるからです。

チャットツールではない

Microsoft Teams は、チャット、Web会議、ファイル共有などが一つになった、人と仕事を効率的につなげるコラボレーションツールです。

ビジネスチャットツールではありません。ビジネスチャットはTeamsに含まれる機能のひとつです。

共同編集作業が便利

チャット機能とWeb会議、通話機能を備えたツールは他にもありますが、Teamsの強みは何といっても共同編集作業か可能という点です。

パワーポイントやエクセルといったOfficeドキュメントであればTeams上で編集ができます。
複数人での編集も可能で、だれが今どこを編集しているか視覚的に把握することも可能です。

また、Teams上で編集したファイルはファイルそのものが更新されます。
なんどもチャットに投稿しなくてもチャット上のファイルが常に最新版に保たれます。

TeamsでWeb通話を繋げながら同じOfficeファイルをTeams上で共同編集することで、まるで同じ場所で同じファイルを編集しているかのよう作業をすすめることができます。

Microsoft 製品との親和性

Microsoft Teams はMicrosoft 製品との親和性が高いです。

日本のほとんどの企業はMicrosoft Office を利用して資料作成や業務を行っています。
そしてそのパソコンもほとんどがWindows OS のものでしょう。

前述の通り、Microsoft Teams では Office ファイルの編集が可能という点や、OutlookやSharepoint OnlineなどMicrosoft 365 クラウド製品とシームレスに連携できる点で、多くの企業が既存の業務環境との親和性の高さを感じられます。

実際、こうした親和性の高さもあり日経 225 企業の94%がMicrosoft Teams を利用しています。

参考:Microsoft 365 から始める DX


まとめ

本記事では、ビジネスチャットの重要性とそのメリットについて詳しく解説しました。

ビジネスチャットの導入は、企業の生存戦略として重要であると言えます。現在の働き方やコミュニケーションスタイルが問題なく機能していると感じていても、他の企業が新しい働き方を導入していく中で、時代の流れに取り残される可能性があります。そのため、ビジネスチャットの導入を検討することを強く推奨します。

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