2024年、生成AIの波はビジネスの世界にも押し寄せ、特に「Microsoft 365 Copilot」は日々の業務を劇的に変える可能性を秘めたツールとして大きな注目を集めています。
「Wordで企画書を自動生成」「Excelで複雑なデータを一瞬で分析」――。そんな未来に心躍らせ、全社導入を検討している情報システム部門やDX推進の担当者の方も多いのではないでしょうか。
しかし、一方でこんな本音も聞こえてきます。
- 「一人あたり月額数千円のコストは、全社展開するには正直、重い…」
- 「PowerPointのスライド作成やExcelの分析機能は、まだ期待していたレベルではないかも…?」
- 「本当に全社員が使いこなせるのか、費用対効果が見えない…」
その感覚、決して間違いではありません。Copilotが強力なツールであることは事実ですが、今すぐ全社員に高価なライセンスを付与することだけがAI活用の正解ではないのです。
今回の記事では、多くの企業が「今、本当に助かる!」と実感している実用的な機能に絞り、Copilot for Microsoft 365のライセンスを購入するよりも大幅にコストを抑えてAIの恩恵を受ける、賢い導入戦略をご紹介します。
今、本当に「効く」AI機能はこの2つ
Copilotの多彩な機能の中でも、導入後すぐに多くの従業員が効果を実感し、生産性向上に直結しやすいのが以下の2つの機能です。
- Teams会議の「AI議事録」機能
- 社内問い合わせに答える「AIチャットボット」
会議が終わると自動で要約とToDoリストが生成され、議事録作成の手間がゼロになる。情シスや総務への定型的な質問は、24時間365日AIチャットボットが答えてくれる。 ――これだけで、どれだけの時間が節約できるでしょうか。
実は、これらの機能を実現するために、必ずしも全社員分の「Copilot for Microsoft 365」ライセンスは必要ないのです。
解決策①:AI議事録は「Teams Premium」で実現する
「会議のインテリジェントな要約機能(AI議事録)」は、Copilot for Microsoft 365のキラーコンテンツの一つと思われがちですが、実はより安価な「Teams Premium」ライセンスで利用できます。
機能 | Teams Premium |
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主なAI機能 | インテリジェント会議要約 ・AIによるメモ(議事録)の自動生成 ・AIが生成したタスクの表示 ・自分の名前が呼ばれた箇所など、パーソナライズされたタイムラインマーカー |
価格(目安) | 月額 1,090円/ユーザー(※) |
Copilot for M365との比較 | Copilot for M365(月額 約4,500円/ユーザー ※)と比較して、約1/4のコストで会議のAI要約機能を実現できます。 |
(※価格は2025年6月時点の参考価格です。契約により変動する可能性があります。)
【賢い導入戦略】
まずは、会議が多い経営層、管理職、プロジェクトマネージャーなど、特に議事録作成の負担が大きい従業員に限定してTeams Premiumのライセンスを付与してみましょう。全社導入に比べて圧倒的に低いコストでスモールスタートでき、AIによる業務効率化の効果を最も実感しやすい層から成功事例を作ることが可能です。
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解決策②:社内FAQは「Copilot Studio」でAIチャットボットを構築する
次に、「社内のどこに申請書があるの?」「経費精算のルールを教えて」といった、日々繰り返される社内からの問い合わせ。これに対応するAIチャットボットも、Copilot for Microsoft 365とは別のサービスで実現できます。
その名も「Copilot Studio」。これは、組織独自のAIチャットボット(Copilotエージェント)を構築するためのプラットフォームです。
サービス | Copilot Studio |
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主な機能 | ・SharePointサイトやアップロードした社内規定などのドキュメントをデータソースとして、専門知識を持つAIチャットボットをローコード/ノーコードで作成 ・作成したチャットボットはTeamsや社内ポータルサイトに設置可能 |
料金体系 | 従量課金制(月間のメッセージ数に応じた課金) |
Copilot for M365との比較 | 全社員にライセンスを付与する「ユーザー課金」ではなく、AIとの会話数に応じた「利用量課金」です。つまり、全社員が利用できるチャットボットを、実際に使われた分だけのコストで運用できます。 |
【賢い導入戦略】
Copilot Studioで情報システム部門や総務・経理部門のFAQに答えるAIチャットボットを一つ作成し、全社員が利用できる窓口としてTeams上に設置します。これにより、担当部門の負担を劇的に軽減し、従業員はいつでも自己解決できる環境が手に入ります。全社員分のライセンス費用はかからず、月々の利用量に応じた支払いで済むため、コストを最適化しながら全社的な生産性向上に貢献できます。
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まとめ:地に足の着いたAI導入計画を
Microsoft 365 Copilotが、いずれすべてのビジネスパーソンにとって必須のツールになる可能性は十分にあります。しかし、機能の成熟度やコストを冷静に見極め、「今、自社にとって最も費用対効果が高いのは何か?」を考えることが、AI導入を成功に導く鍵となります。
- 会議の効率化が課題なら、まずは「Teams Premium」を検討する。
- 問い合わせ対応の自動化が課題なら、「Copilot Studio」を検討する。
このように、いきなり最高級のフルコースを目指すのではなく、まずは本当に美味しい「前菜」や「スープ」から味わってみるようなアプローチはいかがでしょうか。
これらのツールでAI活用の土台を築き、その効果を実感した上で、次のステップとしてCopilot for Microsoft 365の本格導入を検討する。そんな地に足の着いた計画こそが、あなたの会社のDXを確実に前進させるはずです。
貴社に最適なAI導入の第一歩、私たちと一緒に踏み出しませんか?
「ブログの内容は理解できたけれど、自社の場合、具体的にどこから手をつければいいのだろう?」 「Teams PremiumとCopilot Studio、うちの課題にはどちらがより効果的なんだろう?」 「導入後の設定や、社員へのトレーニングはどうすれば…?」
この記事を読んで、そんな新たな疑問や具体的な検討事項が浮かんだ方もいらっしゃるかもしれません。
株式会社WITHWITは、Microsoft 365の導入支援を専門とするプロフェッショナル集団です。
今回ご紹介したようなコストを抑えた賢いAI活用はもちろんのこと、Copilot for Microsoft 365の本格導入まで、お客様一人ひとりの事業フェーズや課題に合わせた最適なプランをご提案し、導入から社内への定着化までをワンストップで伴走支援いたします。

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