「自社で運用しているメールサーバーの保守が、もう限界…」 「もっと安全で、どこからでも使える最新のメール環境にしたい」

このような背景から、Microsoft 365のExchange Onlineへのメール移行を検討しているIT担当者の方も多いのではないでしょうか。Exchange Onlineは、サーバー管理の手間をなくし、セキュリティを大幅に向上させる、非常に優れたソリューションです。

しかしその一方で、メールシステムの移行は、もし失敗すれば全社のコミュニケーションが停止してしまう、非常にリスクの高いプロジェクトでもあります。

この記事では、中小企業のIT担当者の方が、安心してExchange Onlineへのメール移行プロジェクトを成功させるために、具体的な準備のチェックリストから、【最重要】である移行前後の注意点、そして移行後に必ず発生するトラブルとその対処法までを、分かりやすく解説します。

中小企業の移行方法は「カットオーバー移行」が基本です

Exchange Onlineへの移行にはいくつかの方式がありますが、専門のIT部門を持たない多くの中小企業にとっては、全ユーザーのメールボックスを一度に移行する「カットオーバー移行」が、最も現実的で一般的な選択肢となります。

これは、業務への影響が少ない週末などを利用して、現在のメールサーバーからExchange Onlineへ、データを「引っ越し」させる方法です。この記事では、この「カットオーバー移行」を前提に、具体的な注意点を解説していきます。

【最重要】移行前に必ず準備すべき「持ち物」チェックリスト

スムーズな移行の鍵は、現在のメール環境を正確に把握する「棚卸し」にあります。移行プロジェクトを開始する前に、以下の「持ち物」をすべてリストアップできているか、必ず確認してください。

  • ユーザーとメールボックス:
    • 移行対象となる全ユーザーのメールアドレス一覧
    • 一人が複数のアドレスを持つ「エイリアス」設定の有無
  • 共有設備:
    • info@sales@のような、複数人で使う「共有メールボックス」
    • 会議室や社用車などを予約するための「リソースメールボックス」
  • グループ:
    • all@のような、全社一斉配信に使う「配布リスト(グループ)」
  • メールクライアント環境:
    • 社員が使っているPCのOutlookのバージョン(Microsoft 365に対応しているか)
  • その他、忘れがちな連携機器:
    • 複合機やスキャナーの「スキャン to メール」機能
    • 各種業務システムからの「アラートメール送信」機能

見落としがちな技術的な注意点

棚卸しと並行して、技術的な準備も進めましょう。特に以下の2点は、移行のダウンタイム(メールが使えない時間)を最小限にするために重要です。

DNSレコード(TTL値)の事前変更

メールの配送先を新しいサーバー(Exchange Online)に切り替える際、DNSという仕組みが使われます。この設定が世界中のインターネットに浸透する時間(TTL)を、移行の数日前にあらかじめ短くしておくことで、切り替え後のダウンタイムを最小限に抑えられます。

ネットワーク帯域の確認

全社員の過去のメールデータを、インターネット経由でクラウドにアップロードするには、相応のネットワーク帯域が必要です。特にデータ量が多い場合、通常の業務時間中に移行作業を行うと、他の業務に影響が出ないか、事前に確認しておきましょう。

移行後に必ず発生する「よくあるトラブル」とその対処法

無事にデータ移行が完了しても、それで終わりではありません。週明けの月曜日の朝、担当者の元には、必ずと言っていいほど、社員からいくつかの問い合わせが寄せられます。事前によくあるトラブルを想定し、備えておきましょう。

トラブル1:「Outlookでメールが送受信できない!」

原因:
PCのOutlookが、古いサーバーの情報を記憶しているためです。

対処法:
多くの場合、Outlookで新しい「プロファイル」を作成し、Microsoft 365のアカウントでサインインし直す必要があります。この手順を、事前にマニュアルとしてまとめておくとスムーズです。

トラブル2:「スマートフォンでメールが見られなくなった!」

原因:
これもPCと同様、スマートフォンが古いサーバーの設定情報を保持しているためです。

対処法:
既存のメールアカウント設定を一度削除し、Exchangeのアカウントとして、再度Microsoft 365のアカウントを設定し直す必要があります。

トラブル3:「複合機からスキャンしたデータが、メールで届かない!」

原因:
複合機が、社内にあった古いメールサーバーにデータを送ろうとしているためです。

対処法:
複合機の管理者設定画面で、メール送信サーバー(SMTPサーバー)の情報を、Exchange Onlineのものに更新する必要があります。

トラブル4:「メールアドレスの宛先候補(オートコンプリート)が消えた!」

原因:
宛先候補のキャッシュは、PCのOutlook内に保存されているため、新しいプロファイルにするとリセットされます。

対処法:
これは仕様であり、一度メールを送信した相手は、次から再び候補として表示されるようになります。「一度送信すれば、次から表示されます」と回答できるように準備しておきましょう。

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メール移行は、計画的に進める大きなプロジェクトです。しかし、IT担当者の日常は、こうしたプロジェクトだけでなく、「Outlookの検索が動かない」「Teamsでファイルが添付できない」といった、予期せぬ日々のトラブル対応に追われがちです。

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Exchange Onlineへの移行に関するよくある質問(FAQ)

Q
移行作業中、メールの送受信はできなくなりますか?
A

カットオーバー移行の場合、DNSの切り替えからデータ移行が完了するまでの数時間〜数日間、メールの送受信が不安定になったり、一時的に利用できなくなったりする時間(ダウンタイム)が発生します。そのため、業務への影響が少ない週末や長期休暇中に実施するのが一般的です。

Q
移行には、どれくらいの時間がかかりますか?
A

メールサーバー自体の移行は、数時間で完了します。メールデータの移行は、移行するメールボックスの数と、データの総量によって大きく変動します。

Q
Gmailなど、Microsoft以外のメールシステムからも移行できますか?
A

はい、可能です。Microsoftは、Gmail(Google Workspace)や、一般的なIMAP形式のメールサーバーからExchange Onlineへ移行が可能です。

Q
移行後の複合機の設定変更が難しそうです。
A

合機の設定は、メーカーや機種によって画面が異なります。事前に、利用している複合機のマニュアルを確認したり、保守契約を結んでいる業者に設定変更のサポートを依頼したりするのが確実です。

Q
やはり自社だけで行うのは不安です。専門の業者に依頼するメリットは何ですか?
A

最大のメリットは、「安全性」と「担当者の負担軽減」です。メール移行は、専門的な知識と経験が求められる複雑なプロジェクトです。経験豊富なパートナーに依頼することで、今回ご紹介したような注意点やトラブルに先回りして対処でき、担当者は本来の業務に集中しながら、スムーズに移行を完了させることができます。

まとめ:メール移行の成功は「準備」で決まる

Exchange Onlineへのメール移行は、企業のコミュニケーション基盤を刷新し、生産性とセキュリティを向上させる、非常に価値のある投資です。そして、その成否は、いかに周到な「準備」ができたかで決まります。

今回ご紹介した注意点や、移行後のトラブルを参考に、ぜひ、安全で確実な移行計画を立ててください。

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