- テレワークが増えて、社員の自宅にあるPCのセキュリティ状態がまったく把握できない
- 個人のスマホ(BYOD)で会社のメールを見せたいけれど、情報漏洩が怖い
- Intuneという名前はよく聞くけれど、結局何ができて、いくらかかるの?
働き方の多様化に伴い、社外にあるPCやスマートフォンの管理は、IT担当者にとって頭の痛い問題のひとつです。
その解決策として必ず名前が挙がるのが、Microsoftのクラウド型デバイス管理サービス「Microsoft Intune(インチューン)」です。
ただし、「Intuneを入れればIT資産管理がすべて自動化される」「どんなトラブルも遠隔で直せる」といった過度な期待は禁物です。
Intuneは強力なツールですが、得意・不得意がはっきりしています。
- Microsoft Intuneとは何か(MDM・MAMの違い、管理できるデバイス)
- Intuneでできること5つと、できないこと・苦手なこと4つ
- Active Directory(グループポリシー)との違い
- Intuneが含まれるプランと料金(2026年10月時点)
- 導入の流れと、つまずきやすい注意点
この記事では、Microsoft 365の導入・活用支援を行うWITHWITが、Microsoft Intuneの全体像を、中小企業の担当者にもわかるように解説します。
Microsoft Intuneとは
Microsoft Intuneとは、会社のPC・スマートフォン・タブレットと、その上で使うアプリを、インターネット経由でまとめて管理するクラウドサービスです。
一言でいえば、「会社のルール(セキュリティ設定やアプリ)を、社員の端末に離れた場所から適用する仕組み」です。
社内ネットワークにつながっていなくても、インターネットに接続していれば、どこにあるデバイスでも管理できます。
管理者は、ブラウザで開く「Microsoft Intune 管理センター」から設定を行います。

MDMとMAMの2つの管理方法
Intuneには、デバイスそのものを管理する「MDM」と、アプリとその中のデータだけを管理する「MAM」の2つの方法があります。
会社支給の端末にはMDM、個人所有の端末(BYOD)にはMAM、と使い分けるのが一般的です。
| 項目 | MDM(モバイルデバイス管理) | MAM(モバイルアプリケーション管理) |
|---|---|---|
| 管理の対象 | デバイス全体 | 業務用アプリと、その中のデータ |
| 主な用途 | 会社支給のPC・スマートフォン | 個人所有のスマートフォン(BYOD) |
| できること | 設定の強制、アプリの配布、紛失時の初期化 | 業務データのコピー制限、業務データだけの消去 |
| デバイスの登録 | 必要 | 不要(アプリ単位で保護) |
管理できるデバイス
Intuneは、Windowsだけでなく、iPhone・iPad、Mac、Android、Linuxも管理できます。
OSごとに別々の管理ツールを用意する必要がなく、1つの管理センターでまとめて扱えるのが大きな特徴です。


Intuneでできること5つ
Intuneでできることは、「セキュリティ設定の強制」「アプリの配布」「個人端末の業務データ保護」「PCの初期設定の自動化」「紛失時の遠隔対応」の5つに整理できます。
1. セキュリティ設定の強制と監視
社員のPCやスマートフォンが安全な状態かを常にチェックし、会社のルールを強制できます。
- 「パスワードは○文字以上」「画面ロックまでの時間は○分」といったルールを適用する
- ディスクの暗号化(BitLocker)やファイアウォールを有効にする
- USBメモリの利用を制限する
- ウイルス対策が無効な端末や、OSが古い端末を「ルールに準拠していない」と判定する
ルールを満たしているかどうかを判定する仕組みを「コンプライアンス ポリシー」と呼びます。
Microsoft Entra IDの「条件付きアクセス」と組み合わせると、ルールを満たさない端末からはTeamsやSharePointにアクセスさせない、という制御ができます。

2. アプリの一括配布・インストール
業務アプリやMicrosoft 365のアプリを、社員一人ひとりにインストールしてもらう必要はありません。
管理センターで設定すれば、各PCやスマートフォンに自動で配布・インストールできます。
不要になったアプリの削除や、バージョンの更新もまとめて行えます。

3. 個人のスマートフォン(BYOD)の安全な業務利用
MAMの機能(アプリ保護ポリシー)を使うと、社員の個人スマートフォンの中で、業務用のデータとプライベートのデータを切り離せます。
- 会社のOutlookやTeamsから、個人用のアプリへのコピー&ペーストを禁止する
- 業務用アプリを開くときに、PINや生体認証を求める
- 退職時や紛失時に、会社のアプリとデータだけを遠隔で消去する(個人の写真やメッセージは消えない)
4. PCの初期設定の自動化(Windows Autopilot)
Windows Autopilotを使うと、新しいPCの初期設定(キッティング)を自動化できます。
社員が箱から出して電源を入れ、会社のアカウントでサインインするだけで、Wi-Fiの設定や必要なアプリ、セキュリティ設定が自動で適用されます。
IT担当者が1台ずつ手作業で設定する時間を大きく減らせます。
5. 紛失・盗難時の遠隔対応と更新プログラムの管理
デバイスを紛失した場合に、管理センターから遠隔でロックや初期化(ワイプ)ができます。
また、WindowsやiOSの更新プログラムを適用するタイミングを管理し、更新が遅れている端末を把握できます。
WSUSからの移行については「WSUS非推奨時代、クライアント管理はどう変わる?Microsoft Intuneへの移行ポイントまとめ」で解説しています。
Intuneでできないこと・苦手なこと
ここからが重要です。
「Intuneがあればほかのツールはいらない」と思われがちですが、次の4つを実現したい場合は、別のツールや運用でのカバーが必要です。
1. 完全なIT資産(ハードウェア)管理
Intuneは、デバイスのOSのバージョンやシリアル番号などは収集できますが、IT資産管理ツールではありません。
- PCの減価償却、リース期限、購入金額は管理できない
- マウス、モニター、プリンターなど、OSが入っていない周辺機器は管理できない
- ソフトウェアのライセンスの過不足を正確に管理する用途には向かない
2. リアルタイムのリモート操作・画面共有
社員から「PCの操作がわからない」と問い合わせが来たときに、相手の画面を直接操作して解決する機能は、標準のIntuneにはありません。
「リモート ヘルプ」という追加のアドオン(1ユーザーあたり月額524円・年払い)を購入するか、Teamsの画面共有で代用します。
3. Windows Server(サーバーOS)の管理
Intuneは、社員が使うPCやスマートフォンなどの「エンドポイント」を管理するためのサービスです。
社内のWindows ServerなどのサーバーOSは、Intuneへのデバイス登録の対象ではありません。
4. 社員の行動監視(位置情報の常時追跡やWeb閲覧履歴)
Intuneは、社員を監視するためのツールとしては設計されていません。
- 社員が今どこにいるかを、常にGPSで追跡することはできない(紛失時に位置を確認する機能などの例外を除く)
- 個人所有の端末(BYOD)で、プライベートのWeb閲覧履歴や個人用アプリの内容を収集することはできない
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| ◎ 得意なこと | セキュリティ設定の強制、アプリの一括配布、BYODのデータ保護、初期設定の自動化、紛失時の遠隔対応 |
| × できない・苦手なこと | サーバーの管理、リースや金額を含めた資産管理、リアルタイムの遠隔操作、過度な社員監視 |
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「Intuneでポリシーを配信したのに、一部のPCにだけ適用されない」
「個人のスマホから社内データにアクセスできなくなった」
——Intuneの運用は設定項目が多く、OSの更新にも影響を受けるため、原因の切り分けに時間がかかりがちです。
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Active Directory(グループポリシー)との違い
これまで社内のPCを管理してきたActive Directoryのグループポリシーと、Intuneの大きな違いは、「社内ネットワークにつながっている必要があるかどうか」です。
| 項目 | Active Directory(グループポリシー) | Microsoft Intune |
|---|---|---|
| 設定を届ける経路 | 社内ネットワーク(またはVPN) | インターネット |
| 必要な設備 | 社内のサーバー(ドメインコントローラー) | 不要(クラウドサービス) |
| 管理できる端末 | 主にWindows PC | Windows・Mac・iPhone・Android・Linux |
| 社外にある端末 | VPN接続時のみ設定が届く | インターネットにつながっていれば届く |
| 設定項目の細かさ | 非常に細かく設定できる | 主要な項目は網羅。一部は未対応 |
テレワークや外出の多い会社では、VPNにつながない限り設定が届かないグループポリシーよりも、Intuneのほうが実態に合っています。
一方、グループポリシーの設定がすべてIntuneに移せるわけではないため、移行する場合は、現在使っている設定の棚卸しが必要です。
Intuneの料金・ライセンス
中小企業がIntuneを使う場合、もっとも一般的なのは、Microsoft 365 Business Premiumに含まれるIntuneを利用する方法です。
Intuneの基本機能(プラン1)は、次のプランに含まれています。
| プラン | 料金(税抜) | 対象 |
|---|---|---|
| Microsoft 365 Business Premium | 月額3,298円 | 300ユーザーまでの中小企業 |
| Microsoft 365 E3 | 月額5,847円 | ユーザー数の制限なし |
| Microsoft 365 E5 | 月額8,995円 | 高度なセキュリティが必要な企業 |
料金は、いずれも1ユーザーあたり・年払いの金額で、Microsoft公式ページの表示(2026年10月時点)です。
Microsoft 365 Business BasicやBusiness Standardには、Intuneは含まれていません(スマートフォン向けの簡易的な管理機能「基本モビリティとセキュリティ」のみ利用できます)。
この2つのプランを使っている場合は、Business Premiumへの切り替えか、Intuneの追加購入が必要です。
追加で購入できる機能(アドオン)
より高度な機能は、アドオンとして追加できます。
| アドオン | 料金(税抜) | 主な機能 |
|---|---|---|
| Microsoft Intune プラン 2 | 月額599円 | 特殊なデバイスの管理など、プラン1に追加する機能 |
| リモート ヘルプ | 月額524円 | 社員のPCへのリモート支援 |
| エンドポイント特権管理 | 月額449円 | 管理者権限を必要な操作だけに限定して付与 |
| 高度分析 | 月額749円 | デバイスの状態の詳細な分析 |
Microsoft公式ページでは、これらの高度な機能の一部がMicrosoft 365 E3・E5に含まれるようになったと案内されています。
ライセンスの内容は変更されることがあるため、契約前に最新の情報を確認してください。
どのプランが自社に合うかは、次の記事で比較しています。
Business Premiumに含まれるセキュリティ機能の全体像は「Microsoft 365 Business Premiumで実現する、安心のIT環境」で解説しています。
Intune導入の流れ
Intuneの導入は、いきなり全社員の端末に適用するのではなく、少人数で試してから広げるのが基本です。
- 管理の方針を決める:会社支給の端末だけを管理するのか、個人の端末(BYOD)も対象にするのか、どこまで制限するのかを決めます
- ライセンスを用意する:Business PremiumなどのIntuneを含むライセンスを、対象のユーザーに割り当てます
- ポリシーを作成する:パスワードや暗号化などのコンプライアンス ポリシーと、設定を配布する構成プロファイルを作成します
- テスト用のグループで試す:IT担当者など数名の端末を登録し、業務に支障が出ないかを確認します
- 対象を段階的に広げる:部署ごとなど、段階的に登録を進めます。あわせて、社員向けの案内や問い合わせ窓口を用意します
導入時に注意したいポイント
- 設定はすぐには反映されない:
Intuneの設定は、端末が定期的に同期したタイミングで反映されます。即時には届かない前提で運用を設計します。同期の仕組みは「Microsoft Intuneの同期間隔は任意に変更可能?同期タイミングの法則と運用ガイド」で解説しています - 制限を厳しくしすぎない:
最初から厳しいルールを適用すると、業務が止まって反発を招きます。必須の項目から始めて、段階的に強化します - 条件付きアクセスは慎重に設定する:
設定を誤ると、管理者自身がサインインできなくなることがあります。緊急用のアカウントを対象外にしてから有効にします - 個人端末の扱いを社内ルールで明確にする:
BYODでは、会社が何を管理し、何を見ないのかを、社員に説明しておくことが大切です
Microsoft 365導入支援の現場では、「Business Premiumを契約しているのに、Intuneを使っていなかった」というご相談をよくいただきます。
すでにライセンスに含まれている場合は、追加費用なしで端末の管理を始められます。
まずはIT担当者の端末数台で試してみるところから始めるのがおすすめです。

よくある質問
- QIntuneとは何ですか?
- A
Microsoft Intuneは、会社のPC・スマートフォン・タブレットとアプリを、インターネット経由でまとめて管理するMicrosoftのクラウドサービスです。
セキュリティ設定の強制、アプリの配布、紛失時の遠隔消去などを、管理センターから行えます。
- QIntuneデバイスとは何ですか?
- A
Intuneに登録され、会社の管理下に置かれているPCやスマートフォンのことです。
登録されたデバイスには、会社が決めたセキュリティ設定やアプリが自動で適用され、ルールを満たしているかどうかが管理センターで確認できます。
- QIntuneアプリをインストールするにはどうすればいいですか?
- A
スマートフォンでは、App StoreやGoogle Playから「Intune ポータル サイト」アプリをインストールし、会社のアカウントでサインインしてデバイスを登録します。
Windows PCでは、「設定」の「職場または学校にアクセスする」から会社のアカウントを追加して登録する方法が一般的です。
登録の方法は、会社の管理者の案内に従ってください。
- QIntuneはMDMですか?
- A
Intuneは、デバイス全体を管理するMDM(モバイルデバイス管理)と、アプリとデータだけを管理するMAM(モバイルアプリケーション管理)の両方の機能を持つサービスです。
会社支給の端末にはMDM、個人所有の端末にはMAM、と使い分けられます。
- QIntuneでどこまで監視できますか?
- A
会社が管理するデバイスについては、OSのバージョン、インストールされているアプリ、セキュリティ設定の状態、ルールへの準拠状況などを確認できます。
一方、社員の位置情報を常に追跡したり、個人所有の端末のプライベートな閲覧履歴や写真、メッセージを見たりすることはできません。
まとめ

- Microsoft Intuneは、PC・スマートフォンとアプリを、インターネット経由でまとめて管理するクラウドサービス
- 会社支給の端末はMDM、個人所有の端末(BYOD)はMAMで管理する
- 得意なのは、セキュリティ設定の強制、アプリの配布、BYODのデータ保護、初期設定の自動化、紛失時の遠隔対応
- サーバーの管理、金額を含めた資産管理、リアルタイムの遠隔操作、社員の行動監視はできない・苦手
- 中小企業では、Microsoft 365 Business Premium(月額3,298円・年払い)に含まれるIntuneを使うのが一般的
- 導入は少人数のテストから始め、制限は段階的に強化する
Intuneは、「社員がどこで働いていても、会社のセキュリティ基準を満たし、必要な環境を届ける」ためのサービスです。
できないことを正しく理解し、資産管理ソフトやリモートサポートツールと適材適所で使い分けることで、IT担当者の負担を大きく減らせます。
他社の成功事例から、活用のヒントを得ませんか?
今回はIntuneについて解説しましたが、Microsoft 365には、ほかにもEntra IDやDefenderを活用して、セキュリティと利便性を両立させる方法が数多くあります。
「他の会社は、Microsoft 365をどのように活用しているのだろう?」という疑問をお持ちでしたら、ぜひ弊社の「中小企業の導入成功事例集」をご覧ください。

参考資料
- Microsoft Learn「Microsoft Intune とは」https://learn.microsoft.com/ja-jp/intune/fundamentals/what-is-intune
- Microsoft「Microsoft Intune の価格」https://www.microsoft.com/ja-jp/security/microsoft-intune-pricing
- Microsoft「Microsoft 365 Business Premium」https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/business/microsoft-365-business-premium

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