• Power AutomateのAI Builderって、何ができるの?
  • 請求書のPDFから金額や日付を読み取って、Excelに転記できるって本当?
  • AI Builderのクレジットがなくなると聞いたけど、料金はどう変わるの?

AI Builderは、Power Automateのフローに「書類の読み取り」や「文章の要約・分類」といったAIの処理を組み込めるMicrosoftの機能です。

プログラミングなしで、請求書や領収書の読み取りなどを自動化できます。

一方で、料金の仕組みが2025年から2026年にかけて大きく変わり、2026年11月1日からは、ライセンスに付いていたAI Builderクレジットがなくなります。

この記事でわかること
  • AI Builderとは何か、Power Automateでできること
  • 請求書の読み取りなど、使えるAIモデルとアクションの一覧
  • 2026年11月の料金変更(AI BuilderクレジットからCopilot Creditsへ)
  • 使うための条件(ライセンス・Dataverse)と、フローに組み込む流れ

この記事では、Microsoft 365の導入・活用支援を行う株式会社WITHWITが、2026年10月時点の公式情報をもとに、Power AutomateのAI Builderを解説します。

AI Builderとは

AI Builderとは、Power AutomateやPower Appsに、書類の読み取り・文章の分析・AIによる文章生成などの処理を、ノーコードで組み込めるMicrosoftの機能です。

用意されたAIモデルを選ぶだけで使え、自社の書類に合わせてAIを学習させることもできます。

メールで届いた請求書のPDFをAI Builderが読み取り、Excelに転記するフローの図

たとえば、「メールで届いた請求書のPDFから、請求金額・支払期日・取引先名を読み取り、Excelの一覧に追加する」といったフローを、Power Automateの画面上で組み立てられます。

これまで人が目で見て転記していた作業を、AIに任せられるのが大きなメリットです。

AI Builderとプロンプト

AI Builderには、GPTなどの生成AIに指示を出して文章を作る「プロンプト」の機能もあります。

たとえば、「問い合わせメールの内容を要約して、カテゴリーに分ける」といった処理を、フローの中で実行できます。

フローでは「プロンプトを実行する」アクションで使います(2025年5月に「プロンプトを使用して GPT でテキストを作成する」から名前が変わりました)。

Power AutomateのAI Builderでできること

AI Builderのモデルは、Microsoftがあらかじめ用意した「事前構築済みモデル」と、自社のデータで学習させる「カスタム モデル」の2種類があります。

よく使われるのは、書類を読み取る事前構築済みモデルです。

分類モデルできること
書類の読み取り請求書処理請求書から金額・日付・取引先などを読み取る
書類の読み取り領収書処理領収書から店名・日付・合計金額などを読み取る
書類の読み取りテキスト認識(OCR)画像やPDFの文字をテキストにする
書類の読み取り名刺リーダー名刺から氏名・会社名・連絡先を読み取る
文章の分析感情分析文章が肯定的か否定的かを判定する
文章の分析キーフレーズ抽出・言語検出文章の重要な語句や言語を判定する
自社向けドキュメント処理(カスタム)自社独自の書類の項目を学習して読み取る
自社向け予測・分類(カスタム)過去のデータから結果を予測・分類する

日本語への対応

請求書処理・領収書処理・テキスト認識(印刷文字・手書き文字)・カスタムのドキュメント処理・感情分析は、日本語に対応しています。

一方、身分証明書を読み取る「IDリーダー」はラテン文字にしか対応しておらず、日本の運転免許証やマイナンバーカードは読み取れません。

また、テキスト翻訳と事前構築済みのエンティティ抽出は、日本のリージョンでは使えません。

フローで使う主なアクション

AI Builderの処理は、フローの中に「アクション」として追加して使います。

主なアクションの名前は次のとおりです。

アクション名使うモデル
請求書から情報を抽出する請求書処理
画像や PDF ドキュメントのテキストを認識するテキスト認識(OCR)
ドキュメントを処理するカスタムのドキュメント処理(旧「ドキュメントから情報を抽出」)
プロンプトを実行するプロンプト(生成AI)

請求書をExcelに転記するフローの流れ

メールで届いた請求書のPDFを読み取ってExcelに転記する場合、フローは次のような流れになります。

  1. トリガー:「新しいメールが届いたとき」(Outlook)で、添付ファイルを含めて受け取る
  2. 繰り返し:添付ファイルごとに処理する(Apply to each)
  3. 条件:署名の画像などを除くため、「添付ファイルがインラインではない」場合だけ処理する
  4. AI Builder:「請求書から情報を抽出する」で、添付ファイルの内容を渡して読み取る
  5. Excel:「表に行を追加」で、読み取った請求金額・支払期日・取引先名を書き込む

Outlookの署名に含まれるロゴなどの画像も添付ファイルとして扱われるため、3の条件を入れておくのがMicrosoftの公式な推奨です。

繰り返しや条件の作り方は、次の記事で解説しています。

Power Automateの条件分岐と変数の使い方

AIの読み取り結果には、どのくらい確かかを示す「信頼度スコア」が付きます。

スコアが低い場合だけ担当者に確認を依頼するフローにしておくと、読み取りミスを防げます。

届いた請求書の書類をAIが自動で読み取り、表にまとめていくイメージ

【2026年11月】AI Builderの料金とクレジットの変更

AI Builderの機能そのものは今後も使えますが、支払いの仕組みが「AI Builderクレジット」から「Copilot Credits」に切り替わります。

2026年11月1日以降に新しく契約・更新するライセンスには、AI Builderクレジットが付かなくなります。

時期変更内容
2025年11月1日AI Builderの容量アドオンを持っていない組織への新規販売が終了(新たに必要な場合はCopilot Creditsを購入)
2026年11月1日AI Builderの容量アドオンが終了。ライセンスに付いていたAI Builderクレジットも、これ以降に新規・更新するライセンスには付かない
それ以前に契約済みの分契約期間が終わるまでは、付いているAI Builderクレジットを使える

Power Automateのフローでは、AI Builderクレジットが残っていればそれを先に使い、なくなるとCopilot Creditsを使います。

どちらもない場合、AI Builderのアクションは失敗します。

AI BuilderクレジットがCopilot Creditsに自動で置き換わることはないため、管理者は契約の更新時期を確認しておきましょう。

ライセンスに付くAI Builderクレジット(2026年11月まで)

2026年11月1日より前に契約・更新したライセンスには、月ごとにAI Builderクレジットが付いています。

ライセンス1ライセンスあたりのクレジット(月)
Power Automate Premium / Process5,000
Power Apps Premium500
Power Apps per app250

使わなかったクレジットは翌月に繰り越せません。

AI Builderの無料試用版(トライアル)は、現在は提供されていません。

Copilot Creditsでの消費の目安

Copilot Creditsでの消費量は、処理の種類によって変わります。

処理消費するCopilot Credits
請求書・領収書の読み取り1ページあたり8
カスタムのドキュメント処理1ページあたり8
テキスト認識(OCR)1ページあたり0.1
プロンプト(基本のモデル)1,000トークンあたり0.1
名刺の読み取り・予測無料

Copilot Creditsは、Copilot Studioの容量パックなどで購入します。

日本では、25,000 Copilot Creditsのパックが月額29,985円(税抜)で案内されています。

モデルの学習やテストはクレジットを消費しません。

Power Automateのライセンスの種類と料金は、次の記事で詳しく解説しています。

AI Builderを使うための条件

AI Builderを使うには、Dataverseのデータベースがある環境と、AI Builderを使えるライセンス・クレジットが必要です。

Microsoft 365に付いているPower Automateだけでは、原則として使えません。

  • Dataverseのデータベース:
    AI Builderのモデルやプロンプトは、Dataverseに保存されます。データベースのない環境では使えません
  • ライセンス:
    AI Builderのアクションはプレミアムの機能として扱われ、Power Automate Premiumなどのライセンスが必要です
  • クレジット:
    AI BuilderクレジットまたはCopilot Credits(前の章を参照)
  • Dataverse for Teams:
    Teamsの中のDataverse(Dataverse for Teams)では、AI Builderは使えません

「データベースが見つかりません」と表示される場合

Power Automateの左側のメニューにある「AI ハブ」を開いたときに、「データベースが見つかりません」と表示される場合は、その環境にDataverseのデータベースがありません。

デモ環境の既定の環境でも、この表示になりました。

Power Automateの「AI ハブ」(1)を開くと、Dataverseのデータベースがない環境では「データベースが見つかりません」(2)と表示される
Power Automateの「AI ハブ」(1)を開くと、Dataverseのデータベースがない環境では「データベースが見つかりません」(2)と表示される

データベースを作ると、環境のストレージ容量を使います。

本番で使っている既定の環境にいきなり作るのではなく、IT管理者がAI Builder用の環境を用意し、そこで試すのがおすすめです。


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AI BuilderとCopilotの違い

AI Builderは「フローの中で決まった処理(読み取り・分類・要約)を自動で実行するための部品」、Power AutomateのCopilotは「人がフローを作るのを手伝うアシスタント」です。

目的が違うため、組み合わせて使えます。

項目AI BuilderPower AutomateのCopilot
役割フローの中でAIの処理を実行するフローの作成・編集を手伝う
使う場面請求書の読み取り、問い合わせの分類など「〇〇したら△△する」フローの作成
料金AI Builderクレジット / Copilot CreditsPower Automateのライセンスに含まれる

Power AutomateのCopilotの使い方は、次の記事で解説しています。

Power AutomateのCopilotの使い方|文章でフローを自動作成する手順

よくある質問

Q
AI Builderとは何ですか?
A

AI Builderは、Power AutomateやPower Appsに、書類の読み取り・文章の分析・生成AIによる文章作成などの処理を、ノーコードで組み込めるMicrosoftの機能です。
請求書や領収書の読み取り、問い合わせメールの分類・要約などを自動化できます。

Q
AI Builderはいつ終了しますか?
A

AI Builderの機能は終了しません。
終了するのは「AI Builderクレジット」という支払いの仕組みで、2026年11月1日に容量アドオンが終了し、これ以降に新規・更新するライセンスにはクレジットが付かなくなります。
その後は、Copilot CreditsでAI Builderを使います。

Q
Power Automate AI Builderの料金はいくらですか?
A

使った分だけクレジットを消費する仕組みです。
たとえば、請求書の読み取りは1ページあたり8 Copilot Credits、テキスト認識は1ページあたり0.1 Copilot Creditsです。
2026年11月より前に契約したPower Automate Premiumには、1ライセンスあたり月5,000のAI Builderクレジットが付いています。

Q
Power Automate AI Builderは無料で使えますか?
A

無料では使えません。
AI Builderのトライアルは現在提供されておらず、Microsoft 365に付いているPower Automateだけでは、AI Builderのアクションは原則として使えません。
モデルの学習やテストはクレジットを消費しませんが、フローで実行するとクレジットを消費します。

Q
AI BuilderとCopilotの違いは何ですか?
A

AI Builderは、フローの中で読み取りや分類などのAIの処理を実行する部品です。
Power AutomateのCopilotは、文章の指示でフローの作成や編集を手伝うアシスタントです。
Copilotで作ったフローの中に、AI Builderのアクションを組み込むこともできます。

まとめ

  • AI Builderは、Power Automateのフローに書類の読み取りや文章の分析・生成などのAIの処理を組み込む機能
  • 請求書・領収書・テキスト認識などは日本語に対応。日本の免許証などは読み取れない
  • 2026年11月1日から、新規・更新のライセンスにはAI Builderクレジットが付かない。以降はCopilot Creditsで支払う
  • 使うには、Dataverseのデータベースがある環境と、Power Automate Premiumなどのライセンス・クレジットが必要
  • 請求書の転記などは、メールの受信 → 読み取り → Excelへの追加というフローで自動化できる

AI Builderは、転記作業の多い経理や総務の業務で特に効果を発揮します。

料金の変更に合わせて、自社でどのくらいの量を処理するかを見積もってから導入を検討してみてください。


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参考資料

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